講演内容
大正デモクラシーの時期に全国に広がった「大正自由教育」は、形式主義的な古い教育を批判する教育の改造運動であった。子どもの個性、自発性、創造性を尊重して、現代教育への扉を開いたのである。この動きの中心的な役割を担ったのが澤柳政太郎であり、彼が創設した成城学園だった。成城の街づくりもまた学園を中心に進められた。 講演では、澤柳政太郎(1865~1927)の生涯を追いつつ、日本の教育改造に重要な意義を持つ業績に焦点をあてたい。文部官僚として明治後期の公教育を発展させたこと、教育学者として日本の教育学を実証的な科学へと改革したこと、大正自由教育のリーダーとして成城学園を創設し、学校改造を進めたこと、国際教育家としての貢献などである。
講師プロフィール
1950年長野県生まれ。成蹊学園を経て東京大学教育学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。1982年より聖心女子大学専任講師。助教授、教授を経て2019年退任、名誉教授。
主な業績に、『澤柳政太郎全集』(全10巻、別巻1)(編集と解説)、『大正期成城小学校における学校改造の理念と実践』(単著)、『長野県教育史』(第3巻、第4巻、共著)、『長野県史』(第8巻、第9巻、共著)、『教師のライフコース』(共著)、『民俗学と学校教育』(共著)、『聖心女子大学1916~1948~1998』(単著)、『成蹊学園百年史』(監修総括)、『宗教なしで教育はできるのか』(共著)、『澤柳政太郎私家文書目録』(共著)、『「成城小学校と大正新教育―その理念の継承・発展と実践―」の記録』(共著)など